お彼岸が近づくと、去年はまったく見掛けず、そしてなんの兆しもなかった場所に、突然、姿を現すマンジュシャゲ。発火し、一瞬にして炎が立ちのぼったかのごとく、真っ赤な花があちこちで咲いています。
ヒガンバナ(彼岸花 Lycoris radiata/ red spider lily, red magic lily, equinox flower)の名前が一般的ですが、その赤の毒々しさのせいで、曼珠沙華、manjusaka とも呼ばれ、死人花、地獄花、蛇花など、不吉な迷信にむすびつけられた異名をもっています。ありがたくない名前のなかで、狐の嫁入りを連想する「狐花」は、どこか似合っている気も。
*
一転しこちらは、「極楽花」とでも呼びたくなるような白…。公園のシロイロマンジュシャゲは、赤い花に雑ざりながら年々増えてゆくようです。アジサイ園のある谷では、毎年、白い曼珠沙華だけがかたまって咲くので、毎年、おなじように眺めて美しいと思い、毎年、おなじようなな写真を撮ってしまいます。
実りの里の稲穂は台風の影響はさほどうけず、この秋も無事に実り、だいぶこうべが垂れてきました。公園の一画にある田んぼや野菜畑を真っ赤な(そしてたまに雑ざる白の)曼珠沙華が縁どり、いかにも、お彼岸らしい光景を見せてくれていました。
小学生たちがやってきて、稲を刈る日も近いはずです。
*